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たいせつでたいせつで(106)

 結い上げて真珠を縫いとめたネットでまとめた金の髪が、ゆるりと揺れた。
 「どうしたの?」
 足を止めた連れの少年に問いかけ、女性はその視線を辿る。
 「蝶がいる…」
 呟く少年の瞳の先にいる二羽の、とりわけ赤い蝶に気づくと、彼女はふわりと微笑んだ。幅広のチュールに包まれた肩がわずかに動き、白い手袋に包まれた繊手が少年の掌を軽く押し下げる。
 「あ」
 我に返ったように呼吸を復し、少年は急いで歩みを再開した。
 その瞳が落ち着きなく動く様子を横目に、女神がごとき美女はゆったりと歩を運び階下へと降りきる。ボーイから飲み物を受け取ると寄り集まる人の中を泳ぎ、さりげなく少女たちの近くに移動し始めた。



 「ねっねえ、こっちに来るわ。どうしよう、二人ともすごく綺麗」
 「お、落ち着きなさいよ。慌てたって仕方ないじゃない。大体、近くに来たからって私たちなんかに構うわけないんだし」
 「そうだけど、でも~」
 和服の少女たちは互いの口をふさぐようにほしょほしょ言い合っている。
 ところが青い蝶の言い分は、じきに間違いだったと証明された。
 「素敵なキモノね?」
 すべるように近づいて来た佳人が、あでやかに微笑みかけて来たのだ。二人は思わず周囲を見回し、着物を着ているのが自分たちだけであることを確認する。
 「あっ、あの」
 「ありがとうございます。貴方こそ、とても美しくて見とれてしまいます」
 キョーコは慌てるばかり、かすかに上ずった声で答える奏江の後ろに隠れてしまった。俯いた拍子にふと呟く。
 「モー子さん、たもとが」
 手を伸ばし、巨大な壺の据えられた花台の角に引っ掛かった袂を取ろうとした。
 そこへ鋭い警告の声が飛ぶ。
 「危ない!」
 「え」
 ぐらりと揺れた壺の影が少女の視界を覆った。
 「キョーコ!!」
 叫び声。ぱしゃん、とガラスの割れる音。彼女に伸ばされる二対の手。片方が先に届き…
 しかし、細い体をひっさらったのはもう一方の手だった。
 クーはキョーコを片腕にしっかりと抱え込み、もう片手で壺を支え上げる。少年が慌ててそれを手伝った。
 「あ…」
 青ざめた顔をアクションスターの胸に埋め、赤い着物の少女は小さく身を震わせる。
 壺を元の位置に戻した少年は、その様子を見つめながら一瞬だけ彼女に触れた手をきつく握り締めた。
 「ま…あ」
 女性が大きく息をつく。
 「大丈夫?どこも痛くしなかった?」
 「だ、大丈夫です。驚かせてごめんなさい…」
 顔を上げたキョーコは唇を震わせながら謝るが、周囲の視線が集中していることやクーの放り出したグラスを片付けるボーイや、彼女を見つめている少年の姿に気づくといたたまれなげに瞳を揺らした。
 「ごめんなさい」
 うっすら涙の浮かぶ大きな目もとを、クーが優しく撫でる。
 金の髪の少年がまた拳を握り、かと思うとさっと身を翻した。
 「飲み物の代わりを貰って来ます」
 「え、いや…」
 断ろうとするそぶりを見せるアクションスターを、彼はほとんど挑戦的に見返した。
 「構いませんから」




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 社交界に正式デビューだと、本当は衣装はローブデコルテが決まり、とかあるのかも。まあそこまで堅苦しいものじゃないと思っておいてくだされ。
 そしてクオ坊、父親に対するライバル意識が隠せません(笑)。

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