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パクス・ツルガーナ(61)~(66)

 拍手お礼にて連載しているパラレル話です。
 敏腕なのに担当タレントにモテ過ぎたり自信を失わせたりするのが問題というマネージャー敦賀蓮の手腕によって、ちょっと変わった性格で扱いづらいとされるタレント京子がのし上がっていく(?)物語。最後は…?


パクス・ツルガーナ

(61)

 「バカなこと、って」
 「ですから…バカなことです」
 それは、車の中で聞いたのと同じ口調だった。ために蓮は、容易にその会話を連想する。
 恋愛沙汰をバカバカしいと言い切った、年頃の少女。
 待て、と彼は流れて行く脳内の会話を追い、じきにあることを思い出した。
 京子の話のインパクトに圧倒されたのと微妙に関連しそうな内容だったために幻惑されていたが、彼女は結局どうして恋愛を忌避するようになったのかを語っていない。
 今の様子では、実はそこにこそ新人タレントが自分を恃めない理由があるのではないか。
 いくつかクエスチョンマークを飛ばしながら会話の邪魔をしないよう我慢しているらしいウッズを見遣り、蓮はその背後に別の人物を見るような目をした。
 だから、京子は、と。


(62)
 だから彼女はラブミー部に入れられた、という理由がある。その確信と共に、蓮はある人物の姿を思い浮かべた。
 ともすれば顔よりも服装の印象が先に立つ変人コスプレイヤー、LME代表取締役ローリィ宝田。
 京子の事情を知った上でのことかそうでないのか。いずれにしろ彼は、ラブミー部なるふざけ元へ奇天烈なセクションを設置し、あまつさえ蓮自身までもそこへ放り込んだ。
 そこに意味はあるのか。
 自問への答えは簡単にでた。
 ないわけがない。
 たとえその場の思いつきや面白がりであったとしても、ローリィ宝田はやるからには結果を求める。
 ならば、と蓮は奥歯を噛み、担当タレントに正対した。


(63)
 「確認するけど。君は、いわゆる恋愛沙汰について、バカなことだと言ってるんだね?」
 「はいっその通りです!」
 いい返事が返るが、マネージャーは少しも嬉しいと思わなかった。
 「まあっ…どうしてそんな風に思っちゃってるの!?」
 堪りかねたかついに魔女が口を挟む。
 「年頃の女の子が、そんな枯れたこと言っちゃ駄目よ!!」
 つかみかかるように叫ばれて、タレントはたじたじと身を引いた。
 「いえ、あの」
 「恋はいいわよ~、その人がいるだけで自分の力にも勇気にもなるもの。それに、その人に似合うような自分になりたいって努力だってするでしょ?」
 「え、ええと」
 ウッズが畳み掛ける。なんぴとたりとも異論は許さじとばかりの勢いに、少女は何度も瞬きをした。
 「そ、そうかもしれませんが、私は」
 「…理由は?」
 ちぐはぐな空気をぐいと押しのける低い声。



(64)
 「あ、と、その。理由、ですか?」
 助かったのかもっと困ったことになったのか。判断に迷う顔で、京子は蓮に目を移す。
 「それは、あまり言いたくないのですが…」
 「俺は君のマネージャーだ。君の考えをきちんと知っておく必要がある」
 マネージャーは強く言い切り、まっすぐに視線を返した。
 「だけど、そうだね。ここは人前だ。あとで場所を移してから、じっくり話すということでも」
 「まあああ!」
 異議を申し立てたのは勿論ジェリー・ウッズ。ぴ、と手を挙げて彼女は蓮の目線を惹いた。
 「ここまで聞かせておいて、私だけ仲間外れにしようって言うの!?ひどいわ、蓮ちゃんがそんな人だったなんて!!」
 「え、あ、いや…」
 協力者の抗議に、マネージャーが明らかにうろたえる。怒らせて得のない相手であることは確かなのだ。
 そんな己の立場を弁えているのか、魔女は腰に手を当ててふんと鼻息を吹いた。
 「まあ、でも」


(65)
 「私はあとでもいいわ。京子ちゃんが私にも気を許してくれた時でもね」
 潔い美容師のものいいに、蓮は意外の念を瞳に浮かべた。
 「女神…っ」
 一方、少女の方は両手を握り合わせ瞳を潤ませた感激の態で魔法の指を持つ女を見る。
 「そんな、私…っ、どちらかと言うと敦賀さんより女神の方が」
 「…何だって?」
 低い声がタレントの言葉を途中で塞き止めた。何と言うつもりなのか、彼女は。マネージャーよりも美容師の方が何だって?どちらも今日会ったばかりではあるが、それでは問題があるのではないか。
 「あ、あの」
 さすがにそこに気づいたらしい。あるいは単に洩れ出てしまった蓮の怒気に当てられたのか、京子の声が引きつった。


(66)
 「君は、俺を信頼できない?」
 慨嘆と呼ぶべき口調に、少女は大慌てで両手を振り回した。
 「そんな!滅相もない!!ただ、女神の魔法が」
 「神が使うのは魔法じゃないだろう」
 ずばり指摘され、今度はあわあわかぶりを振る。
 「ああすみません、でもあのええと」
 混乱して行くばかりのタレントに、そのマネージャーはふとため息をついた。
 「落ち着いて」
 「……」
 誰のせいかと恨みがましく見上げられたが、彼は委細気にせず自分の要求を口にした。
 「とにかく、信頼はしてもらう。今日はもう一日つぶすことにして、ゆっくり話をしようか」
 


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