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たいせつでたいせつで(110)

 「あら」
 待ち合わせ場所で大荷物と共に車に乗り込んで来た奏江が、先に乗っているキョーコを見て小さな声を上げる。
 仔細げに首を傾げる大好きな姉妹にさえ、年以上に童顔な少女は物憂く微笑に似たものを浮かべるだけだった。しかも几帳面な彼女に似つかわしくなく、横に置いた買い物の袋から中身がバラバラとこぼれ出たままにしている。
 「キョーコはゆうべから、どうしたんだ?まだ体調が悪いんじゃないだろうな?」
 先ほど少女を振り回した父が、運転席から心配そうに尋ねて来た。
 反対側に座って食料品を袋に戻した奏江は、スカートの裾を直しながら済まして答える。
 「大丈夫よ、顔色も悪くないもの。それよりお父さん、また乱暴な運転したのね!?」
 「う、うむ、いや…
 「しかしだなカナエ、キョーコは元気がなさすぎるだろう。お前は何か聞いてないか?学校で何かあったとか、引越しが嫌で仕方ないとか…」
 「い・い・か・ら。お父さんは、運転に専念してて頂戴」
 びし、と前を指され、クーは仰せに従いつつも楽しげな声を上げた。
 「と言ってる間に着いたじゃないか。ほら、ここが私たちの新しい家だぞ!」
 白い壁、赤い屋根。緑の庭に囲まれた瀟洒な作りの洋館が見えて来ていた。



 ディレクターは妙に楽しげにコンテをべらべら繰っている。
 「こいつはいいぞ、カナエもなかなかのもんだ」
 「あの子の台詞はかなりカットするんでしょう?勿体ないですね」
 横から口を出すADに、彼は太い腹の上で太い腕を組みながら頷く。
 「確かになあ。ありゃいいぞ、お前信じられるか?」
 「何をです」
 「あの嬢ちゃんな、コンテ見せたらべ~っと捲って、もういきなり全員分の台詞全部入ってたんだよ。そんで面白えから、カバンに突っ込んであったエングリンの台本見せたら、やっぱめくっただけで全部覚えやんの」
 「うわ、すげ」
 短い指が空中のページを繰る様子に、若いADはまじまじと見入る。彼もエングリンの撮影に参加していたから、どれだけの量があったのかは確かめるまでもなく承知していた。
 「天才ってヤツっすか」
 「さてな。そりゃまだ何とも言えんが…メルはミザじゃなくてあの嬢ちゃんでもよかったかなー」
 くり、と目玉を動かす本業映画監督氏に、AD君は仕方なさそうな苦笑を向ける。
 「またそんなこと言って。本人聞いたら怒りますよ。大体、監督があの子選んだのに」
 「おーよ。お蔭でいい画録れたぜ?けどあいつ、ワガママすぎんだもんよー」
 下唇を突き出してブーブー言うマカナンの様子は、とても年相応の態度とは言い難い。
 「日本の嬢ちゃんズに比べたら、やっぱ際立っちまうよな~」
 気の毒そうな口調を愉しげな声で裏切り、彼はちまちまと指を動かした。
 「ショートバージョンが30秒、ロングは45秒。WEB用のフルバージョンが180秒…やっぱ足んねーかなー。どいつもこいつも勿体ねーよなー」
 ぶつぶつぼやくので、ADを務める青年は笑いながら肩をすくめた。
 「撮影時間の延長、申請しときますよ」




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 すいませんちょっと脱線。モー子さん愛が勝ってしまった(笑)。
 もしこれを本にするとしたら、ここは手を入れなきゃですね~。いや、まだ予定ないけど。


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