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パクス・ツルガーナ(67)~(72)

 拍手お礼にて連載しているパラレル話です。
 敏腕なのに担当タレントにモテ過ぎたり自信を失わせたりするのが問題というマネージャー敦賀蓮の手腕によって、ちょっと変わった性格で扱いづらいとされるタレント京子がのし上がっていく(?)物語。最後は…?


パクス・ツルガーナ

(67)
 ひいい、と声にならない悲鳴を上げる京子に、蓮は一瞬表情を飛ばしたあとにっこり微笑んだ。
 「不満そうだね?」
 「えっ!?あのいえ」
 「でも、今後のために相互理解は必要だから。君の本質に関わる話なら尚更、俺は聞いておくべきだと思う」
 「は…はあ」
 あくまでにこやかにやわらかく、要請しているようにマネージャーは言う。しかしその底には、清々しいまで明白に強要する意志が見えていた。
 「ということで、ミス・ウッズ」
 彼はくるりと美容師を見返る。
 「我々は移動しますので、和装のメイクですか、それはまた今度お願いします。今日の請求は、事務所の方に回しておいて下さい」
 言うが早いか、彼は担当タレントの腕を取った。
 「おいで」


(68)
 「どうなっちゃってるのかしら…」
 美容師の呟きを、車に戻ったマネージャーとタレントは知らない。
 再び助手席に納まった京子が、へどもどと隣の男に尋ねた。
 「あの、どこへ行くんですか?」
 「事務所に戻る。会議室でも借りて…」
 蓮は答えかけて途中で言葉を切り、ふと考える目をする。
 「そう言えば、ラブミー部の部室と言うのがあるんじゃなかったかな」
 「あ、はい。ありますが」
 「じゃあ、そこへ行こう」
 結論と共に車を出し、マネージャーは大きくハンドルを切った。


(69)
 「ここか」
 京子の先導で“部室”に辿り着き、蓮は小さくひとりごちる。
 他のセクションにあるように部課名の表示は出ていないから、知らなければ通り過ぎてしまうに違いない。
 「どうぞ…」
 タレントが開錠し、ドアを開く。
 「カギを持たされてるのか」
 よほど信用があるのかと少し感心する気持ちで彼は思ったが、考えてみれば所属人数などごくごく限られているはずの部だ。ほぼロッカーのカギ感覚なのかもしれない。
 果たして、部室内に踏み込むや京子が彼を振り返る。
 「敦賀さんにも、渡しておいた方がいいですよね」


(70)
 「え」
 一方の壁に一面のロッカー、その前にはベンチ。反対側には会議用長机を並べ、パイプ椅子が置かれている。簡素な室内の様子を見ていた蓮は、一瞬何のことかと目を瞬いた。
 「ここのカギです。まだ部員も2人、あ、敦賀さん入れて3人で、いつも誰かいるわけじゃないですから普段は閉まってることが多いんですよ」
 部員が2名。自分は数に入れたくないと思いつつ蓮はそれを覚えておくことにした。
 「ああ…」
 京子は話しながら掌で彼に椅子を勧める。と思うとロッカーから何か取り出して来た。ちゃらりと金属音がするからそうだろうと思っていると、案の定机の上にカギを一本置く。
 「どうぞ。えーと…お話の前に、お茶淹れますね」
 「え、ああ、ありがとう」
 受け取ったマネージャーはどちらかと言うと茶の方に礼を言ったが、相手はカギのことだと思ったらしい。
「別に貴重品が置いてあるとかじゃないですけど、ラブミー部は依頼によっては多少の秘密事項に関わることもありますから、戸締りには気をつけてるんです」
 流し台に向かう背中の落としていく言葉を、彼は口の先で繰り返した。
 「秘密事項…」


(71)
 「まあ、人事や営業の資料作成や入力のお手伝いとか、そんな?あ、経理の月次決算のお手伝いっていうのもありましたね」
 返る答えに、蓮はすこし考え込んだ。もしやラブミー部というのは、意外においしい部分があるのか。頻々と社内機密に関われば、立ち回りもわかれば人脈も作りやすい、というローリィ宝田の策略が?
 (いや…たとえそういう部分があったとしても、きっと考えてやってるわけじゃないよな、あの人は…)
 いささかぐったりする気分で考えたところに、盆に茶道具を載せた京子が戻って来る。
 「お湯が沸くまでの間、湯冷ましでもどうぞ」
 出された湯のみと茶うけをありがとうと受け取り、彼は少し迷った。早速話を切り出すべきか、それとも湯が沸き茶が入ってからじっくりということにするべきか。
 しかし彼の悩みをあっさり蹴飛ばしたのは、京子の方だった。


(72)
 「ええと、私が恋愛を忌避する理由、ということでしたね」
 まだ眉尻は下がっているが、一旦肚を括れば迷わないタイプらしい。京子はしっかりした声で言い、ただでさえまっすぐな背筋をさらに正した。 
 「必要なことと言われれば是非もありません。お話しますけど、ご他言は無用に願います」
 「それは、当然だけど」
 逆に蓮の方が戸惑い、うっかり本当にいいのかと尋ねそうになってしまう。
 「では、お話しします」
 京子が宣言し、一旦唇を引き結んだ。

 
 
 
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