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たいせつでたいせつで(113)

 「あ、あのっ」
 当事者のはずの自分を差し置いて流れていく事態に、少女は漸く自失から立ち直って声を上げた。マカナンがニヤニヤ、クオンは何とも情けない顔で振り返る。
 「キョーコちゃん…」
 「おう」
 気まずげに立ち尽くす少年の手に紙束を押し付け、ディレクターは黒髪の少女に目を移したと思うとあっさり言った。
 「嬢ちゃんは、嫌か?お前さんがどうしてもヤダってんなら、俺も考え直すけどなー」
 何という対応の差。
 目を剥くクオンをちらりと見遣り、キョーコはもじもじ言いよどむ。
 「えっと…その…は、恥ずかしい、です」
 「うんうん。けど俺は、そいつが欲しいんだな」
 「え」
 今度は少女が目を瞠った。マカナンはむっちりした腕を組み、椅子の上で少し背を反らす。
 「俺はさ、あん時の嬢ちゃんの、こう…いじらしい、ってのか?守ってやりたいとか思わせる様子から、今回のCFを思いついたんだよ」
 「そ、そんな」
 キョーコは気付いていないが、背後ではヒズリ家の大人たちがしみじみ頷いている。それへちらと笑みの瞳を投げ、彼は少女に大きく頷いてみせた。
 「ホントだって。ありゃあ、アレだよ。ニポンで言う、“モエ”ってやつだろ。やっぱなー、本場の嬢ちゃんは違うよなー」
 嬉しそうに言うので、キョーコはどうしていいかわからないといった顔をする。しかしもちろん、映画監督は細かいことは気にしなかった。
 「つうわけでだ。今回の俺のイメージは、あくまでもお前さんにある。だから、嬢ちゃんがどーっしても!ヤだっつんなら、しょーがねえから追加のシーンはナシにするぞ?」
 「え…」
 ここで、コンテに目を落としたクオンがぱっと顔を上げた。
 「監督、これ」
 「うっせー、ちょっと黙ってろ」
 少年の口はにべもなく封じられる。
 「どうする?」
 クオンの時とは違い、存外真剣な顔でマカナンが問う。キョーコはいくつも瞬きし、短い呼吸を繰り返し、小さな手を握り降ろした。
 「あっ…あの…」
 「うん?」
 「い…やじゃ、ありません…ク、クオンですし」
 ぽそぽそ転がり出てくる言葉に目を剥いたのは、隣に立つ少年だった。
 「キョーコちゃん」
 「で!でも、えっと…」
 少女は真っ赤な顔を上げ、震え潤んだ瞳でそれを見上げる。
 「恥ずかしいから、一回だけ、ね…?」
 「…!」
 おお、という両親の声を背後に、クオンはびしりと固まった。対してマカナンは、にっかーと笑うや両手を打ち合わせる。
 「よっし決まり!」
 宣言と同時に、分厚い掌が少年の二の腕を叩いた。げほ、と肺の空気を吐ききったクオンがむせる。
 「よかったなー坊主、嬢ちゃんはお前にちゅーされるのヤじゃねえってよ」
 「~」
 「監督…」
 身も蓋もない物言いに真っ赤になるキョーコとクオンを等分に見遣り、マカナンはぴこりと人差し指を立てた。
 「ちゃんと一回で決めてやれな?でこちゅー」


 
 
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 これだけのことを引っ張りすぎ(笑)。


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